サーモキャップ開発のお話
配電盤や分電盤の内部、電気配線において、ブレーカーや各機器端子を接続する「接続部」は、人間の体に例えれば「関節」にあたる大切な部分です。
「接続部」は、緩みや劣化が生じたまま通電をさせていると発熱をします。
このことは、電設業界の皆様にはもちろん既知のことと存じます。
しかしながら、その発熱した状態が発見されずにそのままの状態で放置された結果、
さまざまな施設の配電盤や分電盤、機器などを火元とした火災が
多数発生しているのも事実です。
16年前、「さまざまな産業界でおきている電気端子の接続部からの火災事故によって、
悲しい思いをする人たちをこれ以上増やしたくはない!」という想いから、サーモキャップの開発は始まりました。
当時から今現在まで、一般的に「接続部」にはゴムや PVC などで成型されたスリーブやキャップが用いられてます。
これらは、「接続部」を覆い、絶縁や埃を避けることにその目的を置いていますので、
「接続部」の発熱を知るには、直接人が触るなどして判断しなければ
そこが「発熱」しているかどうかは分かりません。
つまり、そこには「感電」という危険を冒さなければならず、
「触りたくない⇒発熱を見落とす⇒そのまま通電し続ける⇒火災事故発生」
という構図があったわけです。
そのような中、
「直接触って判断する危険を冒さずに、見るだけで発熱していることが分からないだろうか?」という現場の声により
「温度によって見た目が変化するもので知らせればいいのでは?
ならば、“接続部”を覆う絶縁キャップにその機能を持たせてみよう!」
このようにして、最初のサーモキャップ「サーモキャップ可逆タイプ」が開発されました。
以来、改良を重ね、「発熱した」という記録も目視で確認できる
メモリータイプ( 不可逆タイプ ) や、
既存に付設されている一般的な端子カバーへ後付けで取り付けられ、
しかも発熱の記録を残すことができる「サーモタイ不可逆タイプ」を開発。
端子接続部や、発熱が予想される箇所の発熱監視用として
幅広い分野でご使用いただいております。
さまざまな分野の現場でのアクシデントや事故を減らし
「悲しい思いをする方々をこれ以上増やしてはいけない」という使命感を胸に、私たちはこれからも産業安全の一端を担い続けて参ります。